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「自分を生かし他人を生かす」 (中山) 芝中学・高校は厳しい進学指導の体制が取られておらず、自由な雰囲気にあふれ、明るい生徒が多い進学校という評判があります。これは、どのよう な教育方針によって生み出されたものですか。 (助川先生) 本校は仏教の理念に基づいて設立された学校です。 仏教では「人間 を含めすべてのものは生かされている」という根本の考え方があります。 校訓で ある「遵法自治」とは「真理に従って自分を治める」ということですが、自分を治めることは自分を生かすことで、自分を生かすためには他人も生かさなくては ならないと考えています。生徒諸君には自分を生かし他人を生かす生き方をして ほしいと願って教育しています。 (中山) お話しの点に関連して、「仏教は古臭い、時代遅れだ」などとマイナスのイメージを持っている人が多いようです。 実際、仏教の考え方に基づく教育を されている立場としてどのようにお考えですか。 (助川先生) 本校は仏教を教育する学校ではなく、指導の根本を仏教の精神に置いている学校です。これが生徒の穏やかさ、素直さを育て、いじめのない環境 をつくる上で役立っていると思います。確かに増上寺がつくった学校で増上寺でお説教をお聞きすることもあります。ですから、学校でも仏教教育ばかりであ れば、息苦しいばかりでしょう(笑)。これは学校の教育方針にも反します。 (中山) 他に誤解してほしくないことなどありませんか。 (助川先生) そうですね。仏教との関係ではないと思うのですが「これからの国際化社会に対応して学校は何をするのですか」と聞かれることがよくあります。しかし、学校の根本的な方針を変えてまで国際化を進めるのはおかしい、ことだと思います。 本校でも国際化の一環として外国の学校との交流を進めていますが、国際化とは相互に異文化を受け入れること、つまり他人に目を向けることでしょう。その点で教育方針にも合致しています。本校の姿勢は将来も変わらな いはずです。 「進学指導だけでは芝らしくない」 (中山) そのような方針に基づいてどのような指導をされているのですか。 (助川先生) その話に入る前に、話しておかなくてはならないことがあります。 学校の価値は、生徒に対してどれだけのことができるかで決まると思います。それをハードの面とソフトの面の2つの面から考えています。 (中山) では、ハード面とソフト面とは具体的にはどのようなものでしょうか。 (助川先生) ハードの面は教育のための環境と設備です。昨年(平成10年)に 新校舎が完成し、今年(11年)の3月にはグランドなどの工事が完了します。 これで設備面の充実は終わります。 次はソフトの面ですが、これは具体的な指導をさしています。 本校はこれまで進学校として歩んできました。生徒もその保護者も大学進学を希望して入学してきます。当然のこととして「少なくとも早慶には入りたい」という考えを持ち、あわせて「芝の自由で明るい校風の中で学びたい」という気持ちの強い生徒が入学しています。そのため、進学指導だけでも、 または人格指導だけでも芝らしくないと考える生徒や保護者が多いし、私たち もそのように考えます。 「職員室に生徒がどんどんやってくる」 (中山) どのような点が芝らしいとお考えでしょうか。 (助川先生) まず、生活指導の面でよく話題にされる「いじめ」のことを例に考 えます。 説明会の席では「いじめもあります」とはっきりと話します。 (中山) そのようなことを話されてよいのですか。 (助川先生) 隠すことでもないでしょう。 在校生の保護者からは「言い過ぎじゃないか」と言われることもありますが、私は本音で話します。「いろいろな環境で育ってきた人間が多数集まる社会に、いじめが存在しないはずがない」という 前提に立っているからです。 それが大きな問題にならないようにフォローしていくことが学校に求められていることだと思います。だから、指導側は絶対に「知らなかった」と言い逃れはできないはずです。教師が状況を観察し、生徒の訴えにきちんと耳を傾けていれば適切な対応ができたはずですから。 (中山) ほんとうにそうですね。 でもなかなか難しいことです。 (助川先生) 本校では教師に相談に行くことができる状況をつくることが一番 だと考え、教師から働きかけて気軽に相談できるような体制づくりをしてきました。 カウンセラーも常駐しているのですが、生徒はまず教師に相談するようですね。このような状況をつくることができたことが「明るい生徒が多い、いじめのない」学校という評価を得ている原因のひとつだと思います。 (中山) そのような状況は教科指導の面でも有効でしょうね。 (助川先生) 実際にご覧になればお分かりになるでしょうが、外部の方には「ど うして職員室に生徒が多数いるのですか?」と不思議に思われるほど、生徒が職員室にやってきます。また、夏休みなどの長い休みの際は、担当の教師の日直の日を調べてやってきては、朝から晩まで勉強していく生徒もいます。 まあ、教師もやることがないですから、ほとんど家庭教師ですね(笑)。生徒と教師が近い関係を持てることが芝の誇れる点でしょう。 (中山) 芝独自の指導として考えられるものがありますか。 (助川先生) 進学指導としてやることはすべて一覧表にして渡します。私がワープロで作成したものですが、各教科の特訓、理科の観察など盛りたくさんです。 これを見た保護者の方が、 「芝は自由な学校という評判があるのに、勉強勉強 と追いたてられるように思える」 とおしゃったのですが、自分の実力や状況を考えて自分で選ぶものです。 このような中からも「自治」の気持ちを育てていきた いと願っています。 「偏差値では将来の学力は計れない」 (中山) 模擬テストのデータを見ると、合格者に学力の差が大きいと感じるのですが、学習指導や進学指導の面では どのような取り組みをされていますか。 (助川先生) 保護者の方から「1回目に合格した生徒と2回目に合格した生徒とでクラスを分けないのですか」という質問を受けたことがあります。2回の入試での合格者を偏差値で比べると差があります。また、各回の合格者のレベルも差があります。 しかし、偏差値というのは尺度のひとつですが、学力を完全に反映 しているわけではありません。将来の学力の伸びとは直接には関係がないでしょう。ですから、中1から高1では1クラス40人の7クラス編成です。その後、志望に応じて分ければいいと考えます。生徒すべてに「本校の入学試験に合格したのだから資質は保証する」と話しています。 (中山) 教科指導の上で支障はないのですか。 (助川先生) 入学後の学力の伸びは意欲の問題です。ひとつ例をあげましょう。 千葉大に「飛び入学」をした生徒がいます。外部から見ると、とても優秀な生徒に思われるでしょう。確かに英語や物理はトップクラスの力を持っていますが、総合的に言えば理系で10番程度の学力です。彼は補欠の生徒でした。補欠の生徒でも「自分は補欠だからまずいと思いがんばった」という生徒は必ず伸びると思います。 (中山) なるほど。よいお話しですね。 ところで、高2以降のクラスはどのよう になっているのですか。 (廣澤先生) 高2では文系、理系の希望で分かれます。その上で、成績に応じて 1コース、2コースと分けています。2つとも内容は同じですが扱う問題に少し差があります。高3では、文系、理系ともに1コースが国公立大学2コース が私立難関大学を志望する生徒になります。 さらに理系には3コースとして私立医・歯・薬学部を志望する生徒ためのコースも設けています。これは、本校の基本のカリキュラムの中で受験に不要な科目があった場合、これらの生徒のために その時間演習を増やすコースです。 (助川先生) 少し付け加えましょう。高2でのコースは成績順です。力のある生徒は自分でやれますが、力の足りない生徒は細かいところまで「手をかける」こ とが必要だと考えるからです。 2コースの方は人数をやや少なくし、教師の目が届きやすく、生徒も質問しやすいようにしています。高3では希望制なので、1コースから、早慶を狙って2コースへ移る生徒もかなり出てきますので、コース の人数はかなり違ってきます。また希望に対応するために本来の7クラスが実際は8クラスになることもあり、さらに少人数での指導になっています。 ただ、 理事会からは「なぜクラス数を増やすのか」と反対もありましたが(苦笑)。 「東大に合格できる生徒でも他の大学を選ぶ」 (中山) 受験校の指導についてはどのように行われるのでしょうか。 (助川先生) 「自分が将来何をやりたいのか、他にどのように貢献できるのかを 考えて受験をしなさい」 と指導しています。ただ、生徒の考えが優先なので、学校としては痛し痒しの面もあります。 例えば、平成10年には何人も東大理T 確実の生徒が京大理学部を選んでしまいました。学校としては「東大を受験してくれれば合格者が10人になったのに」と思ったものですが(笑)。 (中山) そうですね。 ただ以前よりも東大志向は弱まり、進学実績だけで学校の評価をしないで、中学高校6年間をどのように過ごさせてくれるか、で学校を評価する親御さんも増えてきています。よいことではないでしょうか。 (助川先生) 本校は伝統的にいわゆる「積めこみ教育」をしてきていません。 外に出かけて観察や採集などの授業を行い、そのレポートを提出させるなどの指導もしてきました。また人格教育も重視してきましたので、生徒からは高い満足を得ていると思います。 「入学してから伸びる生徒がほしい」 (中山) 平成11年の入試についてお聞かせください。 (石川先生) 第1回と第2回のレベルの差を縮めるために、今年から募集定員の配分を変更しました。 第1回を20名減らし、第2回を20名増やしました。結果として学校として考えたものに近い結果になり、合格点の差も、実質倍率の差も小さくなりました。 問題の作成については、今年は難しいと言われた算数を少しやさしくしました。また、最近理科も難しい問題を減らして作成しています。全体的に以前よりも基本的な問題が多くなっていると思います。 (中山) それはどのような考えからでしょうか。 (石川先生) 芝に入学してから伸びてくれる生徒を求めているからです。小学校 時代から飛びぬけた力を持っている必要はないと考えています。 努力ができる、 学力が定着しやすい生徒、平均的な学力を持っている生徒に入学してほしいと思 います。ですから、力の差がきちんと得点差につながらない、難問や奇問をなく していこうとしています。 以上 付記 校長をはじめスタッフに若さが溢れている。それが学校の明るさや自由な雰囲気を反映しているようだ。「本音で話す」、「入試についての意見を言っ てほしい」など、こちらへの質問も多く出た。学校に対する自信と将来への意欲 が溢れていた。 |
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| 学校案内 | |||||
| 住 所 | 〒105-0011 東京都港区芝公園3−5−37 | ||||
| 電 話 | 03(3431)2629 | ||||
| U R L | http://www.shiba.ac.jp/ | ||||
| 交 通 | 日比谷線「神谷町」3分 都営三田線「御成門」5分 ほか | ||||
| 施設・環境 | 総合校舎(地下1階.地上8階)=マルチメディア教室、多目的選択教室、物理・化学・生物・地学実験室、講義室、社会科教室、技術教室、各教科研究室、図書室、進学相談室、自習室、ふれあいコ ーナー、PTA室、同窓会室など、エレベーター(24人乗り)4基。芸術棟(地下1階、地上2階)=美術教室、音楽教室。他に音楽教室家庭科教室、技術家庭教室、講堂(2階建)、体育館(2階建)、売店、臨海寮(千葉県富津市) | ||||
| 生 活 | 週6日制の3学期制。食堂は設けない(パン・牛乳等の販売あり)。クラブ活動(運動系・文化系計35)に80%以上の生徒が参加 | ||||
| クラス | 中1〜高1では40人学級になるように、各学年7クラス。 高2では文科系・理科系の2コースに分け、高3では医歯薬コースを含む志望大学別5コースに分けて、少人数指導の効果を上げている |
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| 授 業 | 6年間完全一貫教育を行う。 英語・数学・国語を中心に、大学入試をにらんで緩やかな先取り学習を行っている。どの教科も高2の段階では高校課程をほぼ終了し、大学受験に備えた演習の時間を多く取っている。全学年とも夏期講習や補習授業を行い学力補充を図っている。また、中学、高校とも理科(物理・化学・生物・地学)の実験回数が多い。年何回かの野外観察(磯の生物観察、動物園での進化の観察、化石採集など)もある |
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| 99年大学合格 | 東大(5)早大(53)慶大(47)上智大(25)東工大(6)一橋大(1)東京理大(74)中大(32)慈恵医(4)など | ||||
| 98年大学合格 | 東大(5)早大(64)慶大(63)上智大(28)東工大(10)一橋大(2)東京理大(52)中大(40)慈恵医(3)など | ||||
| 97年大学合格 | 東大(1)早大(68)慶大(38)上智大(25)東工大(4)一橋大(5)東京理大(48)中大(28)慈恵医(1)など | ||||
| 指定校推薦枠 | 早大(2)慶大(2)東京理大(2)明大(2)中大(2)青学大(3)など | ||||
| 受験情報 | ||||||||
| 合格基準 | 第1回 日能研 57 四谷大塚 55 統一模試 60 第2回 日能研 62 四谷大塚 61 統一模試 64 |
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| 平成12年入試 | 2000年入試は未定(配点などに変化があるかもしれない) 第1回 2月1日 180名 国・算(100点)、理・社(75点) 第2回 2月4日 100名 国・算(100点)、理・社(75点) |
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| 問題の特色 | [国語] 小説や随筆から2題の読解問題と漢字の読み書きの問題が出る。読解問題の文章は子どもが主人公の小説が多く、特に読みにくい問題ではない。しかし、設問は登場人物の心情を問うものなどかなり難しいので、過去問で問題傾向をつかんでおく必要がある。99年の合格点は55〜60%であった。 [算数] 本文中にある通り99年の問題はかなりやさしくなった。計算、数の性質、割合、図形、速さ、移動とグラフなどよく出題される問題が多いので、問題集で練習しておけば心配はない。ただし、やさしかった年の翌年は少し難しくなる場合もあるので、注意が必要。99年の合格点は70〜75%であった。 [社会] 地理、歴史、公民の3分野から1題ずつと文章や資料から考える総合問題が出される。3分野からの問題は基本的なことがらの理解の度合いを問うもので、問題集で繰り返し練習しておけば特に心配は要らない。しかし、最後の総合問題は、100字以上の記述もあり、過去問で練習して出題の形式になれておくことが必要。99年の合格点は65〜70%になった。 [理科] 99年はやや出題の形式が変わり、物理、化学、生物、地学の4分野から1題ずつに加え、生物・地学の総合問題が出された。記述や計算など差がつく問題が多いので過去問で練習しておくことが必要になる。当面99年にならった形式での出題になる可能性が高い。99年の合格点は50〜70%であった。 |
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| 学費 | 入学金300.000円 授業料(月額)37.500円 施設費(月額)10.000円 学校債/寄付金 なし | |||||||
| 現状と展望 | 都心部の学校としては緑の多い環境にある。また、熱心な教職員と充実した教育設備は都内有数である。一時期、ハードな進学指導を行う新興の学校に押され、進学実績が伸び悩んだ。しかし、再び自由な雰囲気を持つ進学校というイメージが好まれるようになり、入学者のレベルが上がっている。弱いといわれていた東大・一橋大・東工大など国立難関大学への合格者も増えていることから、さらに注目度が上がると思われる。東大に安定して10名以上の合格者を出すことが現在の目標だろうが、ここ数年内に達成できるだろう。 | |||||||
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